妹を頼って日本に来たフィリピン国籍のSさんは大阪東部の小さな会社で働くこことなった。

ある日の午前中のこと、誤って左手をローラーに巻き込まれた。
診断の結果、二本の指を切断せざるを得ないとのこと。
随分と長い期間に渡って通院した。

社長は日本の保健は時間がかかると言って労災の手続きを延ばしていた。
Sさんはビザが切れて時間が経っていた。
何度もかけ合ったが同じ事しか言わないと、私に相談が持ち込まれた。

社長に会った私は次のことを約束させた。
すぐに労災保険の手続きをすること。
労働省は早くから、ビザが切れていても入管には通報しないとしていた。
引き続き雇用するように交渉したが、今のままでは仕事が出来ないことから本人の希望も聞き入れて退職一時金を支払うことで合意した。
労災保険からは毎月入金があり、等級が決まった頃には美しい義手が出来上がっていた。

帰国した彼女は祖国で子供服などを売る小さな店をはじめていた。

多くの外国人労働者から相談が寄せられたが解決できなかったのは一件だけ、本人が突然居なくなって未解決となっている。

法務省によると2005年末の外国人登録者は201万1555人で就労者は約80万人と推計されている。
外国人雇用状況報告によると2005年6月現在に報告された外国人労働者は34万人、雇用事業所数は3万弱でいずれも増加傾向にあるという。
出身地は東アジアが43%で中南米の30%と続く。

「外国人雇用状況報告制度」は報告が任意のうえ、対象も原則として50人以上の事業所に限定していて名前などの個人情報は対象外となっている。
政府は少子高齢化に伴い外国人労働者の受け入れを拡大していることから、厚労省は事業主に対して外国人労働者の人数、国籍、名前などの報告を義務付ける制度を創設する。
不法就労の防止や社会保険への加入促進が期待されるとしている。

たんに外国人労働者を管理する制度にならなければよいが、