君子行に、
 『君子は未然に防ぎ
 嫌疑の間に処(お)らず
 瓜田に履を納(い)れず
 李下に冠を正さず
 嫂叔は親授せず
 長幼は肩を並べず
 労謙にして其の柄を得
 和光は甚だ独り難し
 周公は白屋に下り
 哺を吐きて餐に及ばず
 一たび沐して三たび髪を握る
 後世、聖賢と称せらる』


君子たるもの人から疑われるような事は未然に防ぎ、
嫌疑を受けるようなところには身を置かないものだ。
瓜の畑では、しゃがみこんで靴を穿くような仕草をすべきではないし、
李(すもも)の木の下で、冠をなおしたりはしないものだ。
密通を疑われないよう、兄嫁とは親密に接するべきではないし、
年少者は年長者と対等な口をきいてはいけない。
功績があってもへりくだれば権力を得る事ができる。
自分の才能をひけらかさずに世間と協調するというのは難しいものだ。
周の武王の弟・周公は、(偉大な政治家であったが)かやぶきの家に住み食事中でも入浴中でも来客があればすぐに出迎えた。
そうした態度であったからこそ後世に聖賢と称されたのだ。



他人の嫌疑を受けやすい行為は避けるようにするのは当然のことだと思うが、同じ犯罪を犯しても素直に認める人もいれば認めようとせずにその地位にしがみつこうとする人もいる。
何事にも謙虚な人は気持ちが良い。そういう人には多くの人が寄ってくる。

『実るほど頭をたれる稲穂かな』
人生、500年生きた人は聞いたことがない。