何事も初めての時は不安がある。
フィリピンはマニラでの国際会議に参加するためにパスポートを取得した。
15年前の4月から5月にかけてのことだった。

マニラ経由バンコク行きの機内でスチュワデスが飲み物を持ってきたときに、私は「ビール」と注文したが「ビア」と言葉が返ってきた。
そういえばビアホールと言うではないか。
私は「ビール」は英語だと信じていたのだ。

入国審査は簡単に済んだが空港に出たところで迎えにきた通訳の人と会えずにタクシーに乗ってホテルに向かった。

うかつにタクシーを利用して殺された人や身ぐるみ剥がされた人もいることを聞いていたから不安ではあったが仕方がなかった。




マニラ

相乗りしていた人が下車してからタクシーの冷房が故障した、運転手は車をチエンジすると言い、遠くに空港は見えていたが寂しい倉庫のようなところで生きた気がしなかった。



私の勘違いでホテルは空港より南にあると思っていた、左にマニラ湾が見えたが当時はラグナ湖だと信じていた。マニラ湾と解ったら飛び降りていただろう。


無事にホテルに着いたのでチップを奮発した。
ところがホテルのフロントで日本語が通じない。途方に暮れるしかなかった。
そこに若い男性が来て何やら話をしている、手に持っている書類を覗くと下の方に私の名前があるではないか。

私は彼の肩をたたき書類にある名前を指さしてから自分の鼻を指さした。彼は「ジョージ」だと名乗った。
日が暮れて通訳から電話があり、マニラにあるホテルに電話をしまくったこと、バンコクの空港にも電話をしたことなどを語った。
申し訳ない気持ちで一杯になった。まだ若い女性通訳者だった。

明朝早く眼がさめて時間調整してからホテルのレストランに向かったがメニューは英語で注文ができない。
いま思えば初めて一人で行く海外はおもしろい。