「我以外皆我師也」    吉川英治(1892〜1962)


吉川英治といえば若き頃読んだ「三国志」や「宮本武蔵」だ。


吉川英治歴史時代文庫第10巻の『大坂築城』のなかで、

秀吉は、卑賤に生れ逆境に育ち特に学問する時とか教養に暮らす年時などは持たなかったために、常に接する者から必ず何か一事を学び取るということを忘れない習性を備えていた。
だから彼が学んだ人はひとり信長ばかりでない。
どんな凡下な者でもつまらなそうな人間からでも、彼はその者から自分より勝る何事かを見出してそしてそれをわがものとして来た。
――我れ以外みな我が師也。

生まれた環境は似ていても誰からでも学ぼうとする気概が私と違うところ、言うは易し行うは難しと、つくずく思う。



我以外皆我師、我以外皆我師也
吾以外皆吾師、吾以外皆吾師也
と表記することがあるようだ。