大阪府河内長野市天見、高野街道沿いにある南天苑は大正2年(1913)に阪堺軌道が堺市の大浜公園に建設した娯楽保養施設「潮湯」の建物のひとつでした。当時「家族湯」と呼ばれ、主に個室風呂や個室の休憩室が配されていました。

この建物が昭和9年に室戸台風で損壊し、天見に移築され、大阪市阿倍野の料亭「松虫花壇」の別館として営業を始めました。

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備考 平成14年に「明治建築研究会」により建物調査が行われ、明治から大正時代にかけて活躍した
    辰野金吾博士の辰野片岡建築事務所の設計によるものであることがわかりました。
    現在の建物は、和風をベースとしながら諸所に洋風モダンな意匠を取り入れた、大正・昭和初期
    の建築様式を偲ばせる貴重な建物といわれる。