京都井伊美術館は、1982年下鴨に開設された京都戦陣武具資料館を母体とし、そこから分離発展した甲冑刀剣専門の歴史考証の美術館です。
甲冑刀剣の歴史考証家である館主が長年月をかけくさ蒐集した資料や研究のため、調査委託を受けた武具類を展示する。所蔵家より寄託される物件により、品目と公開の時期は一定しないが、その範囲は古墳時代の武具から鎌倉南北朝の兜、室町の腹巻、戦国の武具、有名武将使用の名物刀剣、更にヨーロッパの甲冑と広汎にわたり、そのまま当館の研究分野を示しています。
その他、館主の出身地、彦根の井伊家朱具足や古文書の研究資料等、歴史研究家の間では既に広く知られた存在で生きた歴史資料を直に見ることができます。

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関思恭は江戸中期の著名な書家、先祖は武田信玄の家臣で曽祖父の伊藤友玄の代になって水戸藩に仕え祖父の友近も水戸藩に仕官、思恭は水戸に生まれ、故あって関氏を名乗った。16歳の時、江戸に出て、細井広沢に才能を見いだされ入門。その筆法は極めて優れ、たちまち広沢門下の第一となり広沢が思恭に代書させるに及んでその評判は高まった。
因みに、浅草待乳山の歓喜天の堂に掲げられる「金龍山」の扁額は広沢の落款印があるものの思恭が代筆したものである。
「観光」とは、他国の文化をよく見て考えるという意味で、この額は明治から昭和にかけ日本の古文化を世界に紹介した東山の山中商会本屋軒に架けられ永く外国観光客の目印となっていた。
それ以前は、青蓮院に存したものと伝えられている由緒品である。

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