原子力発電は、ウランやプルトニウムなどの核分裂反応を利用します。原爆が利用した反応と同じものですが、この反応を利用すれば、核分裂生成物と呼ばれる死の灰が生じます。また、プルトニウムは天然には存在しないため、人工的につくり出す必要があります。天然に存在するウランも核分裂を起こす成分(U-235)は全体の0.7%しか存在しません。そのため、たいへん面倒でかつ厖大なエネルギーが必要な「濃縮」と呼ばれる作業をしなければなりません。
原爆では核分裂反応を瞬間的に起こせますが、原子力発電では反応を制御しながら、持続的に起こすよう工夫されています。そして生じる熱で蒸気を発生させてタービンを回し、電気をを起こします。核分裂反応を利用する以外、その熱効率は33%しかありません。

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放射線の人体への影響はシーベルト(Sv)という単位で表します。1Sv以上の被爆で嘔吐などの症状が現れ、3Sv以上では半数が死亡、7Sv以上ではほぼ全員が死亡するといわれています。1Sv以下の被爆ではこのような急性放射線障害は現れませんが、10年以上経ってから被曝線量に比例してガンなどを発症します。1Svで10人に1人が将来発症する確率で、これを晩発性放射線障害といいます。
原発では、事故がなくとも、そこに働く人々が相当量の放射線の影響を常に受けています。被爆労働者の問題は深刻で、同時に、周辺住民への影響も見過ごすことはできません。
今後、廃炉を決めている国はドイツ・スイス・台湾、増炉を計画している国は中国・インド・韓国がある。