八丁味噌(愛知県岡崎)
大豆そのものを麴化して塩と水だけを加えて熟成する豆味噌は、三河・尾張地方特有のもので、独特の風味を持ち、岡崎を代表する名産である。

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岡崎城から八丁(約870メートル)離れていたことからその名がついた八丁村(現在の八帖町)は岡崎の名物、八丁味噌の生産地。昔と変わらず現在でも、2軒の蔵元が八丁味噌を造っており、見事な蔵屋敷が並ぶ狭い路地には昔の風情が残っています。

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矢作川沿いであるという立地条件から、原料の大豆・塩などの仕入れが便利で製品の出荷にも舟運が利用でき、矢作川の伏流水が醸造によくて、また、気候及び風土にも適していると云われる。
江戸時代以降、早川家と大田家の二軒が製造販売する「八丁味噌」は特に有名となり、地元周辺だけでなく江戸にも多く積み出され、現在も両家は「カクキュー」、「まるや」の商号で製造を続けている。

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「摺ってよし、摺らずなおよし、生でよし、煮れば特よし、焼いて又よし」といわれる八丁味噌は、三河武士・農民・町人たちの常食・兵食として親しまれ一日も欠くことのできない食品でありました。また、天正十八年(1590)、徳川家康の関東移封により、三河譜代の大名、旗本によって全国的にその名が知られ需要が高まり、矢作川の舟運や江戸廻船の発達に伴い三河木綿の運搬との相乗関係によって、伊勢・江戸を中心に販路が進展拡充しました。
それが「ふるさとへ まめを知らせの 旅づとは 岡崎(八丁)味噌の なれて送る荷」という吉田松陰の詠歌となり、「今日も亦 雨かとひとりごちながら 三河味噌あぶりて喰うも」という斎藤茂吉の短歌などに記され、江戸時代以来、岡崎城下の名産として称賛されてきました。

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室井滋さん
                                             
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                                  NHKの朝の連続ドラマ、 「純情きらり」が八丁味噌の蔵元が舞台となり、 八丁蔵通りには、ヒロイン有森桜子役を演じた宮崎あおいさんの手形の碑があります。

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