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穂積忠(歌集「叢」)

     町中に富士の地下水湧きわきて 冬あたたかにこむる水靄

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井上靖(少年)
三島町へ行くと道の両側に店舗が立ちならび、町の中央に映画の常設館があって、その前には幡旗が何本かはためいていた。私たち山村の少年たちは、ひとかたまりになり、身を擦り合わせるようにくっつき合って、賑やかな通りを歩いた。

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