紫式部が11世紀に書いたといわれる源氏物語は全体で54帖からなっていますが、45帖から55帖までは、宇治を主要な舞台にしていることから「宇治10帖」と呼ばれています。


総角(あげまき)
八宮の一周忌がめぐってきた。薫君は仏前の名香の飾りに託して、大君への想いを詠んだ。
       総角に長き契りを結びこめ
             おなじ所によりもあはなむ

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大君は父宮の教えに従い、自らは宇治の山住みで果てる意志が堅く、妹の中君をこそ薫君に委ねたいと望まれた。
薫君は中君と匂宮とが結ばれることによって、大君の心を得ようとされたが、意外な結果に事が運ばれてしまう。
匂宮は中君と結ばれたが気儘に行動され得ない御身分故、心ならずも宇治への訪れが遠のく。大君は「亡き人の御諌めはかかる事にこそ」と故宮をしのばれ、悲しみのあまり病の床につき、薫君の手あつい看護のもとに、冬、十一月に、薫君の胸に永遠の面影を残して帰らぬ人となった。

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