紫式部が11世紀に書いたといわれる源氏物語は全体で54帖からなっていますが、45帖から54帖までは、宇治を主要な舞台にしていることから「宇治十帖」と呼ばれています。

-

物語の前半部分は、華やかな宮廷生活を舞台に、光源氏と彼をとりまく女性たちの織りなす様々な人間関係が華麗に描かれていますが、これに対して「宇治十帖」は光源氏亡き後、子の薫、孫の匂宮と大君、中君、浮船の三人の姫君の切なくもはかない悲恋の物語が描かれており、「橋姫」「椎本」「総角」「早蕨」「宿木」「東屋」「浮船」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」の各帖で構成されています。

-

源氏物語はフィクションですが宇治川の周辺には源氏物語を愛する人々によって、いつの頃からか宇治十帖の各帖に因んだ古跡が設定され、、当時と変わらぬ宇治川の清流や木々の緑、静かな佇まいを見せる周辺のまちなみとあいまって、訪れる人々を源氏物語の世界へ誘ってくれます。宇治十帖モニュメントは、浮船と匂宮が小舟の上で愛を語りあう場面をモチーフに宇治十帖の象徴として建てられたものです。