『浮舟』
正月、中君のところに宇治から消息があった。浮舟のことを忘れられない匂宮は、家臣に尋ねさせたところ、まさしく浮舟は、薫君にかくまわれて宇治にいることがわかった。そして、ある夜、闇に乗じ薫君の風を装って忍んで行く。浮舟が事に気づいた時はもう遅かった。
浮舟は、薫君の静かな愛情に引きかえ、情熱的な匂宮に次第にひかれていく。薫君は物思いに沈む浮舟を見て、一層いとおしく思われた。

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如月の十日頃、雪の中、宇治を訪ねた匂宮は、かねて用意させていた小舟に浮舟を乗せ、橘の小島に遊び、対岸の小家に泊まって一日を語り暮らした。

         橘の小島は色もかはらじを
               この浮舟ぞゆくへ知らねぬ

浮舟は二人の間でさまざまに思い悩んだ末、遂に死を決意する。

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