「月の蔵人」の建物は、月桂冠の酒蔵のひとつとして大正二年に建築されました。当時は創業家十一代目・大倉恒吉が当主として酒造業を営んでいた時代で、伏見に十ヶ所の酒蔵を所有していたうち、本木材町の南蔵(現・内蔵)、丹後町の東蔵(現・月桂冠本社)などでの醸造に用いる酒米をここで精米していました。

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精米は酒造りの最初の大切な行程で、酒米を割れないように丹念に時間をかけ、飯米よりずっと小さくなるまで削られます。技術向上に盛んに挑んでいた時代、水車精米や初の電動式精米機、更には国産や外国製など様々なメーカーの精米機を導入し研究された記録も残っています。

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品質の向上により、、大正三年には東京大正博覧会で「名誉金牌」を受賞するなど、この伏見の地に100年前もの昔から月桂冠の品質や知名度を支えてきた酒蔵のひとつでした。
「この建物は平成十四年より京の台所「月の蔵人」として豆富、湯葉を中心とする四季折々の和食料理、月桂冠の日本酒、そして時を忘れてしまいそうな歴史の赴きある酒蔵の空間を満喫して頂ける場所としてご愛願頂いております。」とある。