紀伊の海の 名高の浦に寄する波
                 音高きかも 逢はぬ子ゆゑに

「紀伊国の海の名高の浦に寄せる波のように、人の噂の高いことだなぁ。まだ逢ってもいないあの娘との間に噂が立ってしまったことよ」

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名高の浦とは、かつて海南市名高にあった浜で、万葉時代(約1300年前)には、この歌碑が建っているあたりが海岸線で、ここより遠浅の海が広がり、潮が引くと干潟となりそれに由来して日方という地名がついた。
名高の浦の波の音が高いのと、名高という地名に浮名が高く立つという意味も含め、まだ逢っていない女性との噂が高く立ってしまったことを嘆く歌である。
万葉集にはこの歌を含め、名高の浦を詠んだ歌が四首収められている。