紀伊半島ではリアス式海岸の屈曲の大きな入江や河口などに形成された砂浜で地曳き網魚が操業されてきました。
特に和歌山県日高郡周辺の漁村に多く分布しており、平成4年の調査時には14ヶ所で行われていました。

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地曳き網とは、アミブネと呼ばれる和船2艘が、沖合の同一場所から網を置きながら左右に分かれて魚群を包囲し、両端の網を陸に引いて魚を捕る漁法です。
この和船(材質;スギ・ヒノキ・マツ)(規模;長さ11.05メートル、幅2.24メートル、高さ0.9メートル)は日高町産湯地区の新網によって昭和38年に造船されたもので、漁業近代化のなかで改良を加えられた部分が少なく、伝統的な形式をよく残していると考えられています。