昔、瀬戸村に彦左という力の強い男がいた。ある年の夏、田の草取りの帰り白良浜で河童と命がけの角力をとり勝ったという。それまで、河童は度々陸へ上がって来ては村人に悪事を働いていたのでそのうち二度と陸へは上がらぬという約束で命を助けてやった。

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その時、彦左が「いつか もし 白良浜の白砂が黒く染まったり、沖の四双島に松が生えるようなことがあったら、陸に上がらせてやろう。」と言った。
河童は何とか陸へ上がろうと白良浜へ墨を塗ったり、四双島に松を植えたりしつづけたが、いつも波に洗われて願いを果たせず、とうとう陸へ上がってこられなかったという。