むかしむかし、
ある村に善良な人々と醜い狸が住んでいました。

人々は朝早くから夜遅くまで一生懸命働き、村の外れにある良心寺を心の拠り所としていました。

醜い狸は元々は人間でしたが人々を騙し続けたことから神様が怒って狸にしてしまいました。
それでも醜い狸は反省することもなく人々に謝ることもありませんでした。

人々は仕事の合間に良心寺の庭の草を刈ったり、参道の掃除を誰が言うともなく自主的に行っていました。

醜い狸は夜になると人々の家に忍び込み食べ物を盗んでは良心寺の庭で食し、食べかすを庭にまき散らしました。
人々は今までに何度も醜い狸を捕まえては「悪いことはしないように」と言い聞かせて逃がしてやっていました。
この度も醜い狸は「悪いことはしていない、これは貰った物だ」と嘯きました。

次に醜い狸は男前に化けて若い娘を誑かしました。
やさしい村人達も今度ばかしは許せないと怒って醜い狸を良心寺の大きな楠ノ木にぶら下げました。

夕方から雨が降ってきて醜い狸の体はびしょ濡れになり体温が下がりました。
やがて強い風が吹き、醜い狸の体は時計の振り子のように大きく揺れました。

醜い狸は、
「もう二度と悪いことはしないから許して」と大声で言いましたが誰も来ません。
何度も許しを請いましたが誰も来ません。
そして夜が明ける前に気絶しました。

気がつくと良心寺の庫裡に寝かされていました。
そして和尚さんは醜い狸に食事を与えました。

醜い狸は涙を流して今までの悪事を詫びました。
和尚さんはもう悪いことはしないだろうと思い逃がすことにしました。

自由になった狸は山の上から舌を出しました。
そして隣村でも同じ事をして捕まりました。


皆さんは醜い狸をどのように思いますか!
あなたが和尚さんの立場ならどのようにしますか!