元、奈良県宇陀郡室生村黒岩にあって農林業を営んだ家で庄屋年寄りを務めたと伝えられています。建築年代は19世紀中頃です。

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室生村黒岩は、女人高野で有名な室生寺から東南方へ約5キロへだたり、胎ノ川の支流、黒岩川の中程で谷間の南斜面を利用した村落です。
また、畿内より伊勢に向かう伊勢街道が古くから地区を通っていました。岩本家はこの街道下にあって主屋は河岸段丘部を造成して建てられていました。

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この主屋は、間口7間、奥行き5間半、入母屋造りの茅葺きで葺きおろした素朴な外観を表しています。
向かって左手の土間には、表側隅に馬屋を設け、この奥側に「カマド」、流し、唐臼を備えて台所と作業場を兼ねた土間です。
右手の居室は六室ですが、表側を二分して、上手には前後に三室並び、下手には前側に六畳室が、後ろ側は半間土間に張り出して、長六畳二室が左右に並んだ間取りです。
この間取りは、三間取りに座敷三室を加えたもので、喰い違形の発展形式と考えられるほか、間仕切り箇所は開放的で、居室の表と右側に縁を付け、この外側で戸締まりするのは新しい形式です。
構造では表側をせがい造り、土間上を太い梁で半間間毎に架けるなど、この地方の特色をよく示しています。