木村家は奈良県十津川村にあった農林業を営んだ家で幕末頃には村役を勤めました。建築年代は主屋は文政四年(1821)、納屋及び表門は十九世紀中頃です。木村家を初め奥吉野方面の家々は山深い渓谷の地で山の傾斜地にへばりつくように建てられていました。

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本建物は奈良県北部の民家と比べ、姿や間取りが大きく異なっています。北部の民家は一般に屋根が瓦及び草葺きで、室内には居室に土間が付き、内外の間仕切りに土壁を多用します。しかし、十津川地方やこの家では、屋根を杉皮で葺き、石を乗せ、妻側の端部に雨除けがつく姿で、間取りは三室の横一列型、土間と土壁がなく、すべて板張りとなっています。さらに土間にあたるところにカマドはなく、板敷きとなる等の造りが特徴です。
付属の納屋は屋内を牛小屋と便所に二分して、天井は背面部分上部を突きだしてツシ2階を広くした造りとなています。
この住宅によって奥吉野地方の当時の生活様式を思い起こすことが出来ると共に、主屋の建築当初の規模から増築を経て、さらに納屋・表門が建てられて屋敷構えが拡充してきた過程も併せ示す貴重な建物です。