知音の旅人

誰人であっても誕生と同時に 人生と云う旅に出て 目標に辿り着こうとする旅人である

柿本人麻呂

山辺之道(六)

−山辺の道−

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         いにしへにありけむ人もわが如か
               三輪のえ桧原にかざし祈りけむ   柿本人麻呂

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山辺之道(参)

         わが衣色に染めなむうまざけ
                 みむろの山はもみぢしにけり   柿本人麻呂

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柿本人麻呂

         古に 妹と我が見し ぬばたばの
                   黒牛潟を 見ればさぶしも   柿本人麻呂

    「その昔 妻と私が一緒に見た(ぬばたまの)黒牛潟を見ると何とも淋しい」

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ぬばたま=ヒオウギ(アヤメ科 多年草)

柿本人麻呂

         古の 人の植ゑけむ 杉が枝に
                  霞たなびく 春は来ぬらし   柿本人麻呂

(古の人が植えたであろう その杉の枝に霞がたなびいている 春はきたらしい)

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杉(スギ科 常緑高木)

柿本人麻呂

          もののふの八十氏河の網代木に
                  いざよふ波の行く方しらずも

この歌は、柿本人麻呂が近江国より奈良へ帰る途中に、宇治川付近で作った歌で「宇治川の網代木で一時停滞し、やがて行方知らずとなる波のように、滅びさった近江の都に仕えていた人々はいったいどうなったのであろうか」という意味、
網代は秋から冬にかけて魚をとる仕掛けのことで、杭を川のなかに上流に向かってV字型に打ち、杭の間に竹等で編んだ簀を張り氷魚(鮎の稚魚)をとるもので、この網代に用いる杭を網代木という。

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(宇治川に掛かる朝霧橋または橘橋を渡り橘島にこの歌碑がある。この歌碑は護岸改修中のため一時移動保管中である。)

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柿本人麻呂

       あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
               ながながし夜を ひとりかも寝む
                                柿本人麻呂

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「垂れ下がった山鳥の尾羽のような長い長いこの秋の夜を、離ればなれで寝るという山鳥の夫婦のように、私もたった一人で寂しく寝ることになるのかなぁ」
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