知音の旅人

誰人であっても誕生と同時に 人生と云う旅に出て 目標に辿り着こうとする旅人である

源氏物語

源氏物語(宇治十帖(二)

『椎本』
春、花の頃、匂宮は、初瀬詣の帰路、宇治の夕霧の山荘に中宿りし、お迎えの薫君やお供の貴族たちと音楽に興じた。楽の音は対岸の八宮の邸にもよく通い、八宮は都にいられた昔を偲ばれた。
薫君から二人の姫君のことを聞き、ゆかしく思っていた匂宮は、宇治に消息を送ったが、返事はいつも妹の中君がなさるのだった。薫君は八宮を仏道の師と仰いで、宇治を訪れ、姉の大君に強く心をひかれていく。
八宮は死期の近いことを感じ、姫君たちに身の処し方について遺言し、信頼している薫君に姫君を頼み、秋も深い頃、阿木梨の山寺で、寂しく静かに波乱の生涯を閉じられた。

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       たちよらむ蔭と頼みし椎が本
            むなしき床になりにけるかな

源氏物語

紫式部が11世紀に書いたといわれる源氏物語は全体で54帖からなっていますが、45帖から54帖までは、宇治を主要な舞台にしていることから「宇治十帖」と呼ばれています。

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物語の前半部分は、華やかな宮廷生活を舞台に、光源氏と彼をとりまく女性たちの織りなす様々な人間関係が華麗に描かれていますが、これに対して「宇治十帖」は光源氏亡き後、子の薫、孫の匂宮と大君、中君、浮船の三人の姫君の切なくもはかない悲恋の物語が描かれており、「橋姫」「椎本」「総角」「早蕨」「宿木」「東屋」「浮船」「蜻蛉」「手習」「夢浮橋」の各帖で構成されています。

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源氏物語はフィクションですが宇治川の周辺には源氏物語を愛する人々によって、いつの頃からか宇治十帖の各帖に因んだ古跡が設定され、、当時と変わらぬ宇治川の清流や木々の緑、静かな佇まいを見せる周辺のまちなみとあいまって、訪れる人々を源氏物語の世界へ誘ってくれます。宇治十帖モニュメントは、浮船と匂宮が小舟の上で愛を語りあう場面をモチーフに宇治十帖の象徴として建てられたものです。

住吉

「真住吉し 住吉(すみのえ)の国」は、万葉の昔から数多くの和歌や文学作品にその名をとどめている。

源氏物語澪標に描かれた明石上の悲しい恋もこの地が舞台である。船で訪れた明石上は懐かしい光源氏の華やかな住吉詣に出会ったが、再会することなくそのまま帰る。

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中世の住吉は王朝貴族の住吉詣が多く、平安のみやびにつつまれていた。
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