飛騨山娘   吉村比呂詩

   妾(わた)しや 奥飛騨 山娘 
     都はなれた山里の 深い谷間に咲いた花
       人に知られぬ 山つゝじ

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琴高童子像   日展会員 藪内佐斗司

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〈作者のことば〉
古記録によると19世紀初頭にはすでに存在していたとされる高山の琴高台は、中段欄間の鯉の彫り物をはじめ伊達柱や緋の大幕など鯉尽くしの屋台として有名です。

屋台名は、中国の周代の仙人のひとりである琴高が赤い鯉に乗ってやって来るという故事に由来します。
わたしは、琴高仙人を老人ではなく生まれたばかりの童子のすがたに作りました。それは、不老長生の術を体得していることを表しています。また、手には神出鬼没の行動力を示す風車と知恵のお経を持ち、あたまには仏のご加護の象徴である蓮の葉っぱを被っています。