八年庵は、豪商塚本家を守り、晩年は女学校創始者として女子教育に情熱を注いだ塚本さと(1843〜1928)の二男・二代目塚本源三郎(1866〜1939)が明治13年に古屋を購入して移築し、既存の土蔵を合わせた築200年以上の邸宅で、塚本家の理念を表す「質素倹約と勤勉」そのものの落ち着いた佇まいと文人好みの簡素な山水庭が美しく敷地面積は約620坪、建物面積は約288坪である。


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文化人としても知られる塚本源三郎は、書家の雅号・八年(やとせ)から同邸を「八年庵(はちねんあん)」と称し、同庵を訪れた野村文挙、山元春挙、山岡鉄舟らの作品をはじめ、塚本家と交流のあった勝海舟、福沢諭吉らの書簡、屏風、掛け軸などが保管されている。

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